第三章
繁華街に入ってくると、流石に人の声や音が目立つようになってきた。
腕を組んで歩く若い男女のペアに手を繋いで歩きながら楽しげに笑う親子、道端で何てことはない世間話に花を咲かせる主婦に今日も商売繁盛と威勢の良い声を上げててんてこ舞いする店主。世の中にある悪も正義も知らず変わらない日常を過ごす人々をすれ違い際に眺めているとこの世界は確かに平和なのだろう、等と何の疑いもなしに切に思う。
そんな彼らの日常を崩さないために。
僕たちがいるんだな、と。
「――この街にはもう慣れた?」
ルーティは訊いた。
「少しだけ!」
気付いたルフレが大きめの声で返した。
「そっか。広いもんね!」
ルーティが笑うと同じくルフレも笑みを浮かべ肩を竦めて。
「……少し道を外れるか」
「そうじゃのう」
ロックマンの呟きに応えるシラヌイは表情からして何処か煩わしそうだ。そんな彼女を察してマークは辺りを見渡すと。
「あの道から抜けよう」