第三章
……知らなかった。
まさかこんな年端もいかぬ子供の獣人の見た目をしている二人が――
咳払い。ふ、伏せておくことにしよう。
「目的地にはいつ着くのじゃ?」
「そろそろだよ」
ロックマンは顔を上げる。
「……ああ。彼処だ」
他愛もない話で何となく打ち解けてきた頃。いつの間にか繁華街を抜けていたルーティ達は集合場所である古びた不動産会社の前まで来ていた。
「……?」
ファルコは顔を顰めて呟く。
「誰もいねえぞ」
作戦開始は午後一時。それだというのに建物の前には人影ひとつ見当たらない。
「多分、中じゃないかな」
マークが言った。
「入ってみよう」
軋む扉を開くと外見に反して汚れひとつ見当たらない清潔且つシンプルで小綺麗な、けれどお世辞にもそれほど広いとは言えない一室が迎えた。奥には二階へと続く階段が窺えるがどうやら上がる必要もないらしい。
「よく来てくれた」
見るからに今度の任務を遂行する上で指揮を取るであろう軍服姿で強靭な肉体の男が立ちはだかった。
「X部隊。……それから」
男は太い腕を組んだ仁王立ちの姿勢で。
「フォース部隊」
「フォーエス部隊です」
これだから人は見かけによらない。