第二章-後編-
「――わざわざ見送りにまで出てもらって申し訳ないな」
エックス邸中庭、正門前。
いつの間にか外は暮れており、空は橙色に染まっていた。試合で使用したステージが終始昼間だっただけに凄まじい違和感が襲うがそれだけ夢中だったということだろう。
「ぜーんぜん。寧ろ先輩らしいことなんてこれくらいじゃない?」
「俺たち勝っちゃったもんなぁ」
「初戦で負けたくせに」
「んなぁっ」
痛い所を突かれ、すかさず振り返りロイが睨みを利かせるが言った本人のサムスはつんとして知らぬ顔。
「いい経験になったわ」
「今後に生かせるよう精進するよ」
各々が笑みを交わす中。
「……!」
顔を俯かせていたハルの手をぱっと手に取ったのはピチカだった。
「また遊びに来てね!」
「……いいの?」
ピチカはきょとんと目を丸くして。
「えっ……もう遊びに来てくれないの?」
あれでいて自身の発言が気にかかるのだろう、ハルはたじろぐように視線を逸らしたがその逸らした先でトレーナーが笑うとハルはおずおずと視線をピチカに戻して。
「……先輩部隊のことは正直あまり好きじゃないけど」
柔らかく笑み。
「君とならまた遊んでもいいよ」
「本当っ!?」
「じとー」
面白くないのは毎度お馴染みディディーとトゥーンの二人である。
「どう思う……」
「要注意人物だな……」
口々に。
「若いって大変ですねぇ」
「大変なんは若い番犬に好かれとるピチカの方やけどな」