第二章-後編-



……こんな。


こんなことが本当に。


「よし!」

パックマンははっと顔を上げた。

「今のは効いたんじゃない?」
「完璧入ったよな!」

……その瞬間こそ見逃してしまったが。どうやら一瞬の隙を許したロックマンがルーティの蹴りを鳩尾に受けてしまったらしい。靴裏を摩りながらどうにか踏みとどまって顔を上げるその人の表情こそ確かに変わりはないが呼吸に乱れが見られる。蓄積ダメージも、悟られないよう立ち回ってきたがそろそろ限界が――

「……っ」


未来。あなた達は。


「おにぃ、頑張ってー!」

くっと奥歯を噛み締め拳を握り締める。

「何やってんだよ隊長!」

突然声を荒げたのはパックマンだった。

「手間取るような相手じゃないだろ!」
「そうだ、ぶっ飛ばせ!」

マックが拳を振り上げる。

「ぼくより偉いくせに生意気だぞ!」
「じ、ジュニア。それはその……理不尽で御座る」
「未来の大魔王に楯突くのかよ!」
「ひいいっ!」

叱する声はやがて。

「隊長くん、頑張ってください!」
「何をしとるんじゃ! それっ、そこっ……ああぁっ!?」
「お前はもう少し静かにできんのか」


――場内沸き立つ声援へ。


「やっと観戦らしくなってきたな」
「それはどうかな」

ファルコはにやりと。

「どういう意味だフォックス?」

その人は口元に笑みを浮かべて返す。

「……今に分かるさ」
 
 
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