第二章-後編-



緩く、拳を握って見上げる。

「兄さん」

続け様に呼んだルフレの視線の先、モニター画面には『試合を終了しますか?』といった確認の表示が出ていた。

どうやら。大きなタイムラグを経てシステムがコマンドを受け付けたらしく。

「……試合を終了させよう」

誰もがこくりと頷いた。


「待って」


制止させたのは。

「まだ終わってない」
「……ピチカ」

きっと視線を上げて。

「認めたくないのは分かるけどさぁ、」
「試合はまだ終わってないよ」

見透かしたように。

「……だよね」

にやりと笑みを浮かべて。

「おにぃ」


次の瞬間だった。


「――ッ!」

砂塵を突き破り飛び出したのは。


「ルーティ……!?」


――傷を受けていない!?

「冗談だろッあの爆発を無傷で!?」

パックマンが声を上げた。

「まさか……」

まだステージの半分を覆っていた砂塵がようやく晴れるとそこには、腕を抱えたウルフが立っていた。反して深手である彼を目に疑問の糸がふっと解ける。

「二人の距離は離れていた」

確かめるように呟くルフレに続けて、

「それをあの一瞬の光の中でルーティが飛び出し代わりにウルフが下がることで弾を移し爆撃を逃れたのか……!?」

どちらかが動かなかっただけで成功するはずもないのに。

「それじゃあ爆発はっ」
「後ろに背負ったリフレクター」

ハルが静かに答える。

「威力を……軽減させたってこと……」
 
 
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