第二章-後編-



かっと獣が暗闇の中目を見開くように。

砲口の奥の光が弾ける。


――あのエネルギー砲を正面から、それもこの至近距離で受けたら当然のことひと溜まりもない。身を焼き焦がす覚悟で目を瞑ったが直後瞼越しに窺えるはずの光がふっと遮断された。

影。薄く開いたが目前の光景に見開く。


「ウルフ……!」


ロックマンとルーティ。狭いその隙間に割り込んだのはウルフだった。背負ったリフレクターから赤紫色のバリアを展開させて既の所でエネルギー砲を反射。けれど、まあ、飛び込んだ勢いもあってかエネルギー砲は狙い通り主人の元へとはいかず大きく逸れて場外へ。

僅か数秒の間に織り成された一連の流れもウルフが振り向きざまルーティを蹴り飛ばすことで終止符を打った。無理矢理だが一刻も早くロックマンから解放して距離を取らせたかったのだ。

「ぐっ」

地面を転がるルーティを尻目、けれど直ぐ様向き直って突き出された拳を潜りバク転をしながら蹴りを繰り出す。予測通り回避の動作に入るのを見逃さず体勢が戻ったところで地面を蹴り出し懐へ。

「!」

刹那の一線。瞬時に顔を逸らしたお陰で受けた傷は頬にひとつだけ。いつの間にロックマンは手投げ式回転ノコギリの武器メタルブレードを手にして接近を阻止するべくそれを薙ぎ払ったのだ。

「くっ」

退けば奴の思惑通りになってしまう。

なら、立ち向かうまでだ!
 
 
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