第二章-後編-
靴裏を摩りながら踏みとどまって。
咳をひとつ。――危なかった。
ルーティとウルフは思わぬ事態に案の定苦戦を強いられていた。……恐らくのことロックマンはシステム障害の影響を受けている。彼自身がロボットだからこそ起こり得る予測するべき事態だった。
この事態を解消するには試合を強制的に終了させるのが手っ取り早い。だが彼を侵す――いわゆる“バグ”とやらはそれを許すつもりなど毛頭ないようで。証拠にロックマンは先程より積極的に攻撃的に仕掛けてきている。
隙あらず。ルーティは頭上から降ってきながら拳を振り下ろすその攻撃を間一髪躱して――拳が地面を抉り欠片が砂塵が凄まじい音と同時舞い上がる。
「ルーティ!」
どうするんだとウルフが声を上げた。
――そんなこと言ったって! 自滅するつもりもないくせに!
「うわっ」
即座に地面を踏み込んで蹴り出し接近。
目の前にまで迫ったロックマンの突き出した拳を右、左と躱して返しに回し蹴りを繰り出したが避けられた。また、向かってくる彼を牽制を図るため両手を突き出して放電する。
狙い通り。ロックマンは飛び退いて。
「……試合を続けよう」
ルーティははあっと息を吐き出す。
「彼が怪我を負う可能性もある……けどそれは、仕組みに気付いている僕たちが気をつければいい」
ちらりと視線を遣って、
「負けたくないんでしょ」
……彼自身は答えなかったが。
「僕も同じ」
ルーティはロックマンを見据える。
「……いこう、ウルフ!」