第二章-後編-
ルーティは小さく咳き込んだ。
「……ロックマン!」
呼びかける。
「システム障害が発生してる! 試合を中止にしよう!」
少し距離があったもので不安だったが、程なくロックマンは視線を上げた。
「……ウルフ」
試合を終了させるべく振り返る。
「ルーティ!」
え?
咄嗟に飛び込んだウルフに視界が反転。ゆっくりと後ろに倒れる最中、青い光のエネルギー砲が映り込む。ぎくりとするのと同時ルーティは大きく目を開いた。現状を知って糸が切れたかのようにそれまでスローモーションで織り成されていた光景は元の時間に軸を合わせる。
どたっと背中を打ったが手荒い判断に今回ばかりは助けられた。今、障害により壁を除かれたこの状態であんな攻撃をまともに受けたらひと溜まりもない。
「……ロックマン?」
ルーティはウルフに体を起こされながら静かに聞いた。
「ちゃんと聞こえてたんだろうな」
「そのはずだけど――」
ロックマンが構えるのを見て、
「ウルフっ!」
――躱す。
「……野郎」
砂塵に巻かれながらウルフはくっと顔を顰めた。
「けほっ……どうして……」
ルーティは幾らか咳き込んだ後である瞬間を視界に捉えた。無機質な目を向けるロックマンの頬に走る仄かな閃光。
「……まさか」