第二章-後編-
「何、あれ」
ルフレはぽかんとして呟いた。
「あれは」
「無茶苦茶じゃない!」
――バトルルーム。彼女がこうして腹を立ててしまうのも無理もない。
モニターに映し出される試合の様子、防戦一方であるロックマンに畳み掛けるルーティとウルフの動きは、チームであるにも関わらずまるで相方など無いものかのような勝手極まりない戦術で全くと言っていいほど連携のとれていない。
詰まる所。彼女が発言した通り初心者も同然の無茶苦茶な動きだったのである。
「お、おにぃやけくそだね……」
ピチカは苦笑いを浮かべるが。
「考えたね」
感心したようにマーク。
「確かに無茶苦茶な動きかもしれない……けど、ロックみたいに戦いを知った経験者にとってあの立ち回りは毒だ」
ミカゲは腕を組んで見上げる。
「万に通じる戦士こそ初心を忘れ、素人の動きに翻弄される……」
こくりと頷いて。
「しかし隊長のような強者なら順応するのも早いはず。それを知らない彼らではないだろう」
――つまり。
「決めるつもりかしら」
「そういうことになるだろうね」
時間をかければそれだけ戦術の変化に順応したロックマンに戦況を返されやすくなってしまう。……だからこそ。
彼が防戦一方の今。
――攻め切るしかない!
「隊長……」
小さく呟くハルに。
ルフレとマークは密かに視線を交えた。