第二章-後編-



攻撃が通らない――

「っ、」

靴裏を摩りながら踏みとどまったが直後跪いて咳き込む。ルーティは終始無表情で全く戦況の変化を感じさせない“化け物”にくっと顔を顰めた。

どのくらい攻撃を打ち込んだだろう――無傷ということはないはずだ、幾らかダメージは蓄積しているのだろうがそれが微塵も窺えない。

リオンの台詞を思い出す。


視えるもの全てに囚われていたのでは理想には辿り着けないということだ――


「どう思う」

ルーティは直ぐ側の足場の上に着地したウルフに視線を遣らないまま聞いた。

「一丁前にそれを聞くな」
「意見は大事でしょ」

口には出さないが――相手は一人。これ以上遅れを取るわけには。

「ルーティ」

そのひと声に呼び戻される。

「……分かってるよ」

焦ったら。それだけ隙が生じるのに。

「テメェ気付いたか」
「……え?」

ウルフは装填を済ませると目を向けて。

「あいつにも隙がある」


それって。


「その顔はどっちなんだ」
「あ、ええっと」

慌てるルーティに鼻を鳴らして。

「……異なる意見も。合わさず生かせば武器になる」

目を丸くする。

「いくぞ、ルーティ」
「……うんっ!」
 
 
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