――決勝戦。


「うわっ」

二体一という圧倒的有利な状況で幕を切られたかのように思われたこの試合も、当然二人チームであるルーティとウルフにはハンデが付けられていた。

そうはいったところで一発か二発攻撃を受けたのと大差ないハンデ、枷にもならないだろうと踏んでいたのだが――

「くっ」

腕から炎を噴出させながら切り裂くように前方に振るう。ロックマンの攻撃を間一髪ルーティは躱したが髪がほんの少し焦げ付いた。退いてばかりではいられない、直ぐ様地面を蹴り出して切り返しを図ったが構えた砲口の奥から仄かな光を見つけて進路変更、跳び上がる。

――撃ち出された青い光をまとうエネルギー弾に思わず言葉が詰まった。あんな攻撃、当たったらひと溜まりもない。

「……！」

ルーティははっと口を噤み目を見張った。ロックマンの背後に回り込んだ影は紛れもなくウルフである。

程なく繰り出された前蹴りは紛れもなく死角を突いている。入った――二人が確信を抱いた次の瞬間である。


「っ、！」


ウルフの視界から。ロックマンの姿がふっと消えた。

視線を落としてぎくりと。繰り出した蹴りを潜るようにして躱して姿勢低く。屈した両脚をバネの如く打ち出して握った拳を振り上げ勢いよく跳躍。


……冗談だろ。


「ウルフ！」　

後ろに目でも付いてるってのか――！？