第二章-後編-
終えても尚暫くはロックマンは口を開かなかった。ただ時間が過ぎようとするのを痺れを切らしてウルフがホルスターに仕舞われた銃に触れたその時。
「……そうか」
ロックマンはぽつりと声を漏らした。
なんだろう。
どうしてあんなにも弛まない強い意志を宿していた彼がここにきて初めて、寂しそうに目を伏せるのだろうか。
「ルーティ」
ロックマンは静かに言葉を紡いだ。
「やはり我々と君たちとでは正義の趣きというものが異なるようだ」
……風が吹く。
「君が語るように」
語る最中にロックマンの腕はゆっくりと装甲を開いて鉄砲の形に変形。
「生かすのが正義なら」
それをゆっくりと持ち上げながら。
「見せてもらおうじゃないか」
――正義を。
「くっ」
砲口から放たれる初撃をウルフは咄嗟に踏み込んで空中へ、ルーティは蹴り出して前方へ進みながら躱し、遅れて爆発音――舞い上がる砂塵が背を襲う。
「分かるかい」
声。ルーティは顔を上げる。
「この胸の昂りが」
抑えきれないこの衝動が。
「存分に戦おう」
砲口から突き出た刃に光沢が走る。
「……ルーティ」