第二章-後編-
風が吹き抜ける。
ルーティはすうっと息を吸い込んだ。……初めこそ親睦を深めるといった理由で開催されたトーナメントだが今ではすっかり意味合いも変わってしまって。
閉じていた瞼をゆっくりと開けば視線の先に青の装甲を身に纏った戦士が同じく青い灯を冷たくともした無感情の瞳で見つめていた。直後。一陣の風が吹き抜けるとルーティは髪を衣服を煽られて。それがおさまると傍の足場に気配。
「……ロックマン」
沈黙に触れる前にぽつりと口を開く。
「さっきの質問」
ロックマンは顔色ひとつ変えずに黙っている。
「……半分正解だよ」
しんと静まり返った戦場に。
「僕も同じことを思っていた」
少年の声が響く。
「でも違う」
それはひとつの迷いもない。
「戦うってそんなに寂しいものじゃないと思う」
芯の通った声で。
「たくさんのことを教えてくれた。辛いことも悲しいことも全部」
思い返すのは戦士達の軌跡。
「戦いは――誰かを殺して何かを得るためのものじゃない。意志を、想いを教え合って繋いで……正しい答えに辿り着くように、導くためのものなんだ」
真っ直ぐな瞳で見据えて。
「不正解の半分。それが僕の答え」