第二章-後編-
ドクンと心臓が跳ねた。
「ルーティ。君は戦いの中で幾つの命を得ただろう」
「そ、そんなこと考えたこともないよ」
思わず眉をひそめる。
するとロックマンは何故かニッコリと笑った。
「怖いかい?」
ぴりぴりと突き刺さるような何かが全身を駆け抜けた。
「……戦士である以上は絶対に目を逸らしてはならない事項だ」
ロックマンは己の胸に手を触れて。
「そんな考えも何も。今、全ては俺の命と共にある」
ゆっくりと。
「……それが違うというのなら」
伏していた目を上げて冷たく。
「俺を殺してみせろ。……ルーティ」
硝子玉のような澄んだ青の瞳が見せる正義の意志を。
どうしてこんなにも。“怖い”と思うのだろう。
「大丈夫よ」
先を行くロックマンに目を奪われていたその時、声をかけたのは。
「私たち先輩じゃない」
リムは肩を竦めて笑いかける。
「だったらかっこいいところ見せなくっちゃね!」