第二章-後編-
「おめでとう、ルーティ」
拍手を送りながら足を進める男がいた。
「今度の試合も実に素晴らしいものだった」
柔らかな笑みの端々に僅か窺えるのは強者の余裕か。
「……さっきのこと」
ロックマンはぴたりと足を止めた。
「止めなかったのは自分自身そう思っていたから?」
――だってそれが戦士でしょ。
ハルがそうして語るのをフォーエス部隊の誰も止めはしなかった。その内の一人であるロックマンも隊長としての日がまだ浅いとはいえ一切の口を挟まずに。
「……そうかもしれないな」
勘繰るまでもなくロックマンは答えた。
「ルーティ。戦いの中には何があると思う」
突然の質問にきょとんとした。
「様々な意志や想い、勝利や敗北があるだろう」
ロックマンはフォーエス部隊の隊員たちが立ち並ぶ側にゆっくりと歩いて。
「だがそれ以上に」
その先頭に立つと立ち止まり、振り返った。
「我々には――この身に宿した命がある」