第二章-後編-
「っは」
裏拳打ちを横に、次いでの逆蹴りを大きく仰け反って躱しつつそのまま体を後ろに倒して後転、蹴り上げる。けれど既の所で顎を反らし最低限の動きだけで躱され、ルーティが正面を向いて体勢を立て直す頃にはリオンは既に大きく引いた両手を並べて突き出し波導エネルギーを射出。躱しきれない――ルーティは腕を交差させると腕の表面に電気を帯びてコーティング、波導エネルギーを受け止めて。
……やっぱり強い。受け止めたとは一概に言っても焼くような痛みが防御を突き破って襲ってくるし吹っ飛ばされはしないが大きく押し出された。砂塵を巻き上げて足裏を擦りつつも何とか踏み留まったが背後に気配。けれど恐れるはずもない。
「ルーティ」
ウルフが訊いた。
「てめえ何に気付いた?」
ルーティは黙って正面のリオンを睨んでいた。答えるつもりもないかとそう思ってウルフがユウに向き直ったその時。
「いっ!?」
ぞわぞわと背中を駆けて襲う、擽ったいような痛いような不快極まりない感覚。
「何しやがる!」
尻尾を掴まれたのである。
「てめえっ状況が見えてるのか!」
「どっどうどう。悪気はないんだよ」
威嚇するウルフにルーティは冷や汗をたらり。
「痛かったでしょ?」
「当たり前だ!」
「うん。だから僕たち同じなんだよ」