第二章-後編-
「……すげ」
場面は変わって、バトルルーム。
あれだけ緊張が解れて賑やかだった此処もモニターの中で織り成される激しい戦いに誰も目を奪われしんと静まり返っていた。ただ単純に楽しむつもりで戦っていた自分たちとは訳が違う――ロイは静かに息を呑んで。
あっ、と誰かがこぼした。
リオンの蹴りが深くルーティの鳩尾に入ったのだ。その時映し出された表情からも分かるようにあれはどう見ても痛い。
「やるねぇ」
容赦ない攻撃の数々にパックマンが呟いた。
「なぁシュルク」
「……えっ?」
見惚れていたところ。急に呼ばれてシュルクは振り返る。
「お前、あいつらと戦ったんだろ。どうだったんだよ」
「どうって……」
シュルクは顎に手を添えた。
「……まさしく歴戦の戦士って感じだった。攻撃のリーチやパターンをちゃんと見切っていて付け入る隙がまるでない」
「能力は?」
「未来を視る能力と心を読む能力、だね。使ってなかったよ」
傍耳にしながらロックマンは密かに目を細めて。
「使ったら多分、いや確実に手に負えないと思う」
「――どっちでもいいよ」
パックマンは含み笑いを浮かべた。
「どの道結果は見えてるんだ」
意味深に吐き出されたその台詞は誰が気にするでもなく。
「さて」
パックマンはモニターを見上げる。
「どう決めてくれるのかな。……X部隊のリーダーさん?」