第二章-後編-



「チッ」

舌打ちに釣られて顔を上げるとその視線の先、ちょうどユウが暗い紫色のまん丸としたエネルギー弾を放つところだった。すかさずウルフは構えるとリフレクターを自分の周囲に展開させて。結果として反射させることは叶ったがそれだけに留まらず跳ね返されたエネルギー弾を跳び越えてリオンが突っ込んできた。

すかさずルーティが前に出て電気を纏いながら蹴り払う。一撃目は退いて躱されたが続け様距離を詰めて懐に潜り込み拳を振り上げると顎にクリーンヒット、怯んだところを低く跳んで両足を相手の腹に乗せると膝を屈して蹴り出した。

後転して舞う中、地面を転がるリオンを見届けて。


まるで実戦のようだ。

強い。初戦とは比べ物にならない――!


はっと気付いた時には受け身を取ったリオンがウルフの斬撃を躱し、此方に向かってきていた。その頃には着地を許されたが距離が近い。はあっと息を吐いて構えリオンの蹴りを素早く躱す。がら空きの背に接近し尻尾を掴むとリオンが鋭く視線を遣った。躊躇わずそれを引っ張り寄せて更に足払いをかける。

狙い通りリオンの体が前に傾いて地面に倒れかかったその隙、ルーティはまた低く跳び上がって空中で前転するとその勢いに乗せて強烈な踵落としを背中に見舞い。

電気を帯びていたそれはバチバチと悲鳴を上げながら青い光を辺りに飛び散らせて。ルーティはそのまま背中を蹴って跳び上がり、足場へ。

ふと視線を遣るとウルフとユウは交戦中だった。元々ウルフほど体術には通じていないユウだったが重い攻撃は打ち合わずに流すか回避に徹し、その隙を見て攻撃を打ち込んでいる。どんなに浅くても蓄積すれば立派なダメージだ。遠目に見ても双方が汗をうっすら浮かべているのが分かる。

と。気配を察知して振り返ると跳躍するリオンの姿があった。目で追い見上げたが太陽の光に目が眩んで怯んでしまう。我ながらくだらないミスだ。

重なってリオンの姿に深く暗い影が差した、その本人は。

にやりと笑みを浮かべると拳を構えつつ降下して――
 
 
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