第二章-後編-



――第十一回戦。


「うわっ!」

此方へ注意が向いているのに真正面から突っ込んだのがいけなかった。

ユウの双眸は瞬く間に金色の光を迸らせたかと思うと腕を軽く薙いだそれだけで正面から立ち向かってきたルーティの足を見えない力で掬い、体を空中に持ち上げて宙返りさせたのだ。急に浮かされたのでは対処の仕様がなく素っ頓狂な声を上げるばかりで、けれど容赦なくユウは体を反転すると――

「うぐ、ぅ……ッ!」

強烈な足蹴を鳩尾に見舞い。ルーティの体は吹き飛ばされて。

ダメージは浅いので直ぐ様受け身を取れたが、影。見上げる間もなく回避を選択して飛び退くと直後ルーティが元いた場所に波導弾が降り注いだ。コンクリートの地面を抉る勢いで放たれたそれらが巻き上げる砂塵を背中から突き抜けて脱したが。

「……!」

追うように。砂塵の中から――

「惑わされるな!」

その間に飛び込んでリオンを払ったのはウルフだった。

蹴りを既の所で躱して跳び上がるリオンと入れ替わるように砂塵から飛び出すユウを正面から捉え、銃弾を二発。けれどその双眸が金色の光を灯せばどれも見当違いの方向へ飛んでいってしまい気付けば目前にまで踏み込まれて。

「くっ」
「ウルフ!」

顎を拳で突き上げられたウルフだったが浅かった。すかさず向き直って得意の回し蹴りで返し、顰めっ面で顎を摩る。
 
 
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