第二章-後編-
そうしてユウとリオンが構えを取る反面、ルーティは再び視線を落としてもやもやとした感情にとらわれていた。――確かにこのシステムの中なら怪我をしないし、だから攻撃や防御を甘く見ている面は少なからずあった。
リオンは嘘をついていない。
でも、そうだとしてこの場所を本物の戦場と見立てて戦うことは、果たして本当に正しいことなのだろうか――
「ルーティ」
閉ざしていた口をようやく開いて呼んだのは。
「てめえの意志ってのはそんなもんか」
「……ウルフ」
「いいか」
潔く。
「納得がいかねえってならそれでいい」
弛まぬ意志で。
「だったら」
躊躇うことのない強さで。
「てめえは今まで信じてきた、自分自身の意志を貫き通せ」
その人は。
「馬鹿にされたところで今更だろ」
ふんと鼻を鳴らして。
「そんなお前についてきた奴がいるってことを忘れるな」