第二章-後編-
……何もかも、お見通しだ。
「リオン」
ルーティは影を落としながら重い口を開いた。
「ロックマンの心の中は」
「見たというよりは」
すんなりと答えるリオンに。
「見えたと言った方が正しいかな」
ルーティは怪訝そうに視線を上げる。
「隠すつもりもないようだった」
リオンは何食わぬ顔で。
「彼を突き動かしているものは純粋な殺意だよ」
ああ、と。怖いくらいに納得した。
ふと思い返したのは歓迎式典での彼の演説。ジョークを織り交ぜながら巧みに語る彼の笑顔の裏に何かぞっとするものを密かに感じた。
その正体は。悪意に向けられた正義じゃない。
――正義に向けられた、殺意。
「ルーティ殿。戦場に立った貴殿なら分かるはずだ」
燃ゆる橙の瞳で真っ直ぐ見透かして。
「ただの遊びのつもりなら彼に勝てない。無論――」
紡ぐ。
「我々二人にも」