第二章-後編-



――第九回戦。

「翔ぶ!」 

シュルクが左手を振り上げて叫ぶと、右手に持ったモナドの丸いガラス状のプレートに“翔”の文字が浮かび上がった。硝子のようなものが弾け散る最中、踏み込み、高く舞い上がる――その先で浮遊していた、ユウの元へ。

「ふんっ!」

パートナーを見上げている暇もなかった。既の所で接近に気付きマックのアッパーを躱す。けれど直ぐ様距離を詰めるマックにリオンは低い姿勢で構えを取り波導を集中。刹那の一撃、食らったかのように見せかけてそれまでそこにあったリオンの姿形はぶれて消失――回り込み。マックは大きく目を開いた。

「ぐあっ!」

狙い通り背後を取って蹴り飛ばしたが直後入れ替わるようにファルコの跳び蹴りが襲ってきた。躱すか、受けるか――リオンは腕を交差させて見据える。


次の瞬間。


「――んなっ」

リオンの腕とファルコの足との間にブロックノイズが生じたのだ。

顔を顰めて双方共に距離を取り、構え直す。――今のは。

「どうしたリオン!」

攻撃の手が止んだパートナーに交戦の最中ユウが呼びかける。

「さっきのリンク達の試合と同じだ!」

けれど、その度手を止めていたのではきりがない。

「……大丈夫!」

その声は空から降ってきた。

「僕はこのモナドの力を使って未来を視ることができる」
「……未来を」
「同じことは繰り返させない」

双眸に青い光を宿してシュルクが叫ぶ。

「最悪の未来は――僕が変える!」
 
 
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