第二章-後編-
それまで俯きがちにぼうっと考え事をしていたルーティははっと顔を上げた。が、大勢の視線を受けていたことに気付くと直ぐ様視線を落として。えっと、と何処か煮え切らない態度で答えを迷わせていたがやがて決心がついたのか拳を握って。
「僕は……戦いたい」
確かにまたいつ同じことが起こって仲間を傷付けることになるか分からない。
それでも。
「戦いたい!」
これが英雄の血か。
共にある仲間と戦場の中で躍動する純潔の――
「……では、これよりトーナメント第九回戦を始めます」
口元に笑みを浮かべて口を開いたのはルフレである。
「対戦者は機械の方へ」
ルーティがおろおろとしている間に誰かがぽんと肩を叩いて横切った。見ればひらひらと手を振ってファルコが歩いていく。思わず目をぱちくりさせていると、またいつの間にか隣に立っていたフォックスが口を開いた。
「ありがとう」
きょとんと見上げる。
「……え?」
「俺も戦いたかったんだ。でも周りの顔色を窺っていた」
フォックスは小さく笑みをこぼす。
「本当、あいつと同じではっきり言うよな」
脳裏を掠める。
「俺だって誰より戦いたかったつもりだ。それはこれから証明してやるさ」
フォックスは踏み出す。
「行ってきます」
――集う。青い光の向こう側へ。
「行ってらっしゃい!」