第二章-後編-
そうであれ、と。
まるで頭の先から爪先まで教え込まれたかのような、淡々とした態度で。
「な……」
実の兄のように慕っていた人を。馬鹿にしたつもりはないだろうが、だからって辞書にでも書いてあるかのような台詞で簡単に片付けるのか。ふざけるなといった尖った台詞が今まさに口を衝いて出ようとした、その時。
ぽんと肩を叩かれて。
「そういうこと。言うもんじゃないっしょ」
思い留まらせたのはカービィだった。
「僕たちは戦士だけど量産型でも消耗品でもない」
カービィは踏み出して。
「一人一人、ちゃんとした人間なんだ」
ハルはじっと見つめている。
「そりゃあ一般人とは違うだろうけどさ。それでもそれぞれにちゃんとした意志ってものがある。それを蔑ろにするようなことは、例え正義でも言っちゃ駄目だよ」
彼の口からそんな言葉を聞けるとは。
「……ごめんなさい」
ハルはすんなりと謝った。
「お前にしてはまともなこと言うじゃん」
「しては、は余計」
ロイに肘で小突かれカービィはひと睨み。
「無駄にしたくないからさ。……あいつに教えられたこと」