第二章-後編-
Wii Fitトレーナーの傍ら。彼女の太腿の半ばが頭の先といった誰より幼い風貌で。小さな手を後ろに回して組みながら。全てを悟ったかのような冷めた瞳で。
「言いたいことは分かるよ。仲間が怪我をさせられたら誰だって怒る」
ヨッシーははっとワリオを振り返った。あれだって曲がりなりにも心配していたのである。彼の場合、気性が荒いので突っかかるような発言となってしまったが。
「だけど」
ハルは続け様に口を開く。
「それでぼくたちが責められる道理はない」
空気がひんやりとしたものに変わった。
「大乱闘はスポーツだけど油断していいものじゃない。もっと言ってしまえば本当は怪我するところを機械が特別に見逃してくれてるってだけ」
淡々と。
「詰まる所、あの人が怪我をしたのは」
「兄ちゃんが悪いってのかよ!」
「そうは言ってない」
怒鳴るトゥーンにハルはすっと冷たく視線を遣る。
「――傷は勲章、死は誇り。嘆くべきは他者を守れなかった無力な自分」
ぎくりと心臓が跳ねる。
「初めから責めてなんかいないよ。だって、それが戦士でしょ」