第二章-前編-
その言葉が全てだった。
「……?」
ルイージと交戦していたロゼッタのチコが攻撃を弾いたが刹那、ブロックノイズ。
双方攻撃の手を止めて己の手を見つめた。ロゼッタが杖を振り上げるとチコはぴょこんと体を跳ねてロゼッタの元へ。それを何故か見送った後でルイージは、自身の手を広げては閉じ、広げては閉じつつ尚も見つめて。
……今のは。
「どうしたんだよ」
兄弟のやり取りを傍目にリンクの胸の中で心臓が俄かに騒ぎ始めた。
血。ブロックノイズ。
「てああっ!」
顔を上げたその先でトゥーンがガノンドロフの防御を崩した。
顰める魔王の目前。少年は剣を大きく振り被る。銀の光沢が走る。
「危ないッ!」
何故、そう叫んだのか。どうして飛び込まなければいけなかったのか。
――その答えは。
「えっ」
肉を裂く。掻っ切る。生々しい音、色、赤い色。
「兄ちゃん!」