最終章
褒めろ褒めろとスリッピーは言うが誇ることじゃないだろう。確かに彼の並外れた技術力には敵の内部情報を探るのに幾度となく助けられてきたし尊敬するべき才能なのだろうが、それでもやってることはグレーゾーンだ。
フォックスがちらりとペッピーに視線を遣ると一瞬だがそれが合わさった。好きにやらせておけということか。惑星フレイアムにおいて数ある都市の中で最も文化が発展、且つ星の中枢とまで云われている天空大都市レイアーゼに喧嘩を売るかのような行為――何かあっても助けてやらないぞ、と密かに心の中でぼやく。
「あら」
クリスタルが声を上げた。
「ねえファルコ。これって貴方たちが招待を受けた特殊防衛部隊じゃない?」
ファルコは顔を顰めつつ覗き込んだ。
「……そうか?」
「見ずに捨てたでしょう」
「今更興味なんかあるかよ」
ぶっきらぼうに返すファルコにクリスタルは「もう」と言って呆れた。
その隙。スリッピーはマウスを滑らせて人差し指で叩き、問題の特殊防衛部隊へ来年から配属される予定である隊員名簿を画面上に表示させる。
「出た出た」
スリッピーが呟くとクリスタルとファルコはすかさず覗き込んだ。
「……あのなぁ。その辺に――」
言いかけて。
「なっ」
ファルコは目を開いた。