最終章
いつものことだ。フォックスは短く息を吐く。
「年寄りは黙ってろよなー」
「ワシもこんなことは言いたくないわい」
スリッピーが不服そうに唇を尖らせる。
と。リビングの戸が開いて一人の男が入ってきた。……ファルコである。
「フォックス。“また”届いてたぜ」
そのひと言で察した。
「捨てといてくれ」
振り返って確認するでもなくフォックスはゲームの画面に視線を戻す。
「またなの?」
「飽きないなぁ」
ファルコはその手に持った手紙を一瞥して。
「いいのかよ。捨てるぜ?」
「ああ捨ててくれ」
彼がこうも素っ気ない態度で返すには理由がある。
――レイアーゼ防衛機関管理下特殊防衛部隊への所属を希望した招待状。
手紙の内容はそれだった。
「それにしても毎年よく場所が分かるわね」
クリスタルは感心したようにぽつり。