第十一章-後編-
そうして双子の手を握り締めると、体の内側から泉のように溢れ出す眩いばかりの金色の光が辺りを明るく照らし出した。影を、煙を。黒と呼べるもの全てを払い、押し退け光を広げて。
優しく。そして温かく真っ白い光の群れが黒の世界を包み込む。
やがて光は弾けた。音も無く。静かに。
或いは激しい音を轟かせていたのかもしれない。……
空。ねずみ色の雲が何処までも広がっていて。
青年の腕には最愛の友が抱かれていた。その口はもう二度と、開くことはなく。
――“この世界”はあまりにも理不尽でそして残酷だ。何故誰かのために何かをしてやれるそんな人間ばかりが。いや。世界を恨むのは筋違いというものだろう。
俺は。どうしてそちら側の人間ではなく。
ただただ無力だったのだろう。
こうして世界の命運をかけた戦いは幕を閉じた。
長いようで短く。優しいようで儚い。
……違う。これは始まりなんだ。
お前の死を乗り越える為の長く険しい戦い。
そう。これは俺たちの始まりの物語。