第十一章-後編-
ふはっ、とクレイジーは吹き出した。
「答えらんないか」
その人の体は風に吹かれるがまま後ろに傾いていた。噴き上がる鮮血は右肩から左肩にかけての一線。浅くもなく深くもなく喉を掠めて重傷。
……僕の兄さんにちょっかいを出すからだ。
「まあまあ面白かったよ。二回も此処に来てくれるなんて」
クレイジーはおもむろに左手を翳す。
「でも、これで最後」
目を細めて。
「……ばいばい」
ばちばちと赤のエネルギーが左腕を跳ねた。ならって、地面が盛り上がる。
突き出た赤紫色の棘が。ラディス目掛け真っ直ぐに伸びて――
「っ、!」
既の所で踏み込んだ。蹴り出し、掠めて躱す。
「……まだだ」
ラディスは血反吐を吐いて。
「まだ、伝えてない」
「なんで」
「助けたいって言ったろ」
クレイジーは目を開く。
「お前たちを此処から連れ出すまで」
叫ぶ。
「俺はまだ死ねないッ!」