第十一章-後編-
「っ、な」
影の格子に攻撃を仕掛けようしたその時だった。
背後から肩を掴まれ、ぐいと引かれて。
ぐらりと後方に体が傾いたが踏み堪えて振り返る。きっと鋭く視線を遣った先には案の定フォックスが立っていた。黒を帯びた電気がばちっと頬を跳ねて。
「いい加減にッ」
言いかけたが刹那。
銃声。
「……え?」
鉛玉は計二発。視線の先、構えた男の銃口から。
――クレシスの両脚に向かって。
「ああぁあああぁああッ!」
悲痛な叫び声が。
「クレシス!」
劈く。
「てめえっ」
地面に崩れ落ちたクレシスの元へ駆けつけて抱き起こし、振り返り鋭く睨みつけるファルコにフォックスは容赦なく銃を構える。
「なに考えて、」
それも皆まで許されず。
「……!」
乾いた音にならって鉛玉が頬を掠め、抜けて。