第十一章-後編-
遠退く。
「ラディスッ!」
……まさか。
「くくっ」
不敵に笑みこぼすその主をきっと睨みつける。
「どういうつもりだ」
クレシスは影の格子を握り締めて言った。
「――ダークリンク!」
元々協力しているつもりもなかった。けれど今は敵対している状況ではない。
それなのにこれは、こいつが作ったものじゃないか。
「さぁてね」
日射しの下で彼が無事であるはずだった。右手には勇者の聖剣と瓜二つの黒塗りの剣を、左手には――黒髪揺れるゲムヲを抱えて。
「くそっ」
それもこの鳥籠の外側にいる。剣を突き付けられゲムヲは身動きが取れない。
「ラディスッ!」
尚も構わず遠ざかる背中に。
「……ふざけんなよ」
クレシスは叫ぶ。
「一緒に戦うんじゃなかったのかよ!」