第十一章-後編-
「ラディス」
誰も止めなかった。彼が先頭に出て足を止めるまで。
まだ、迷っているんだ。
……静かな風が吹いていた。
例えばそれが決して優しいものではなく。嵐の前の静けさだと。
誰かが。
気付けていたら。
「ラディス、」
三度呼んだ時にはもう遅かった。
おもむろに踏み出したが刹那姿勢がふっと低くなる。踏み込む。砂塵を上げて。
「ラディスッ!」
――次の瞬間。
「なっ」
飛び出したラディスとその他メンバーを阻み、そして閉じ込めるようにして地の表面を一瞬にして駆け円形に囲った黒い影が幾つも突き出したかと思うと、そのまま天に向かって伸び、先端部を結んで巨大な鳥籠を象ったのである。
「何だよこれ!」
ざわつく。飛びついて。
「どういうことだよッ!」