第十一章-後編-
ぽん、と優しく手を置いて。ラディスは要塞を振り返った。
「全員位置につけ!」
クレシスはフォックスをひと睨み。
「……餓鬼は下がってろ」
何だろう。
不安は削がれた、はずなのに。
「全力でいってみますか」
「そうじゃなきゃどうにもならないだろ」
「大丈夫、……大丈夫」
緊張した空気の中、呟く声だけが聞こえてくる。
「お願い……」
俯くユウの隣でリムは両手を組んで祈りを捧げた。
どいつもこいつも。一人の男はやれやれと剣を肩に担いで。
「ダークリンク」
……、……分かったよ。
要塞には容易に近付けない。あの強い風が吹いているからだ。よって、殆ど同じ位置から一斉攻撃を仕掛けることとなった。突入するラディスとクレシスはその少し後ろで待機。突破したらラディスが注意を引き、その隙に。
「……?」
ふらりと踏み出した。その意図も掴めずに。
「ラディス?」
クレシスは怪訝そうに名前を呼ぶ。