第十一章-後編-
その場にいた全員が注目を置いた。
「……考えがある」
陰り。
「まさか」
フォックスがこぼした。
「利用するんだ」
「ラディスっ」
「彼らに、俺は殺せない」
密かに拳を緩く握り締める。
「分かるんだ。だからその隙を突けば、きっと」
「――正気かラディスっ、だって本当は」
「フォックス!」
ファルコが、呼んだ。
「俺が呼びかけて注意を引く。クレシスはその隙に」
「……了解した。これが最後だからな」
「ありがとう」
ラディスは頬を緩める。
「……フォックス」
そして向き合う。
「大丈夫さ。必ずこの戦いを終わらせる」
「でも」
「ボルテッカーは使わない」
ドクンと心臓が跳ねた。
「だから大丈夫」
ラディスは優しく笑いかける。
「……戻ってくるよ」