第十一章-後編-



その場にいた全員が注目を置いた。

「……考えがある」

陰り。

「まさか」

フォックスがこぼした。

「利用するんだ」
「ラディスっ」
「彼らに、俺は殺せない」

密かに拳を緩く握り締める。

「分かるんだ。だからその隙を突けば、きっと」
「――正気かラディスっ、だって本当は」
「フォックス!」

ファルコが、呼んだ。

「俺が呼びかけて注意を引く。クレシスはその隙に」
「……了解した。これが最後だからな」
「ありがとう」

ラディスは頬を緩める。

「……フォックス」

そして向き合う。

「大丈夫さ。必ずこの戦いを終わらせる」
「でも」
「ボルテッカーは使わない」


ドクンと心臓が跳ねた。


「だから大丈夫」

ラディスは優しく笑いかける。

「……戻ってくるよ」
 
 
22/40ページ
スキ