第二章
「……戦いの中で、何かを感じたことはあるか?」
ラディスは引き続き、口を開いて。
「例えば、人々の声援や歓声」
ぎり、とマリオは奥歯を噛み締めた。
――絶対、勝つに決まってますよ!
「俺にとっての戦いは結局、単なる苦痛でしかなかったんだ」
ああ、全てを知ったような顔をして。
「その中で今更、何を感じろと?」
分かったような口を叩く。
「笑わせるな」
怒気が流れ込んでくる。仕掛けてくると知っても尚、ラディスは構えずにいた。
「……辛かったんだな」
「五月蝿い」
何も知らない癖に――
「お前に何が分かる!」
構えないのなら好都合だ。
両手に炎を宿し、声を張り上げると同時に駆け出す。ラディスは構えない。
――それが何故か寂しかった。