第二章



「っは……っは……」

息も切れ切れに膝に手を付いて、マリオは策を練っていた。視線の先で構えている奴は、攻撃の出が速くて読みづらい。

炎の乱発は相手が詰め寄る隙を与えるだけ……同じように奴が電撃を乱発するように誘い込むか? いや、それは危険だ。


奴は強い。どうすれば勝てる――?


「君は、本当に勝ちたいだけなのか?」

ラディスは不意に口を開いて。

戦いの最中に何を言い出すのかと思ったが、寧ろ好都合。僅かだが時間稼ぎになる。

「おかしなことを言うな。当然だろ」

マリオははっと笑って。

「勝負において、負けたい奴なんか」
「俺が聞きたいのは」

ラディスは続ける。

「本当にそれだけなのか、ということだ」


――マリオさんが負けるわけないです!


「それだけ、……いや」

マリオは強く拳を握って。

「俺にはそれしか、ないんだよ……!」
 
 
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