第二章
にやにやと憎たらしい笑みを浮かべて此方を見つめてくるのはカービィである。
「っ……兄さんが、勝つに決まってる」
「へえ、結構な自信だね。本当に?」
どんな苦境も乗り越えてきた兄さんだ。
でも。……言い返さなくてはと頭では分かっていても、言葉が見つからない。
「あっは、自信ないんだ? でも、仕方ないよね。君も僕も観戦者なんだから」
――見守る他、ないのだろうか。
だって、兄さんの言う通りだ。負けた人間に価値なんてないのだから、勝利者の戦いには手も足も出すことを許されない。
雲泥の差だ。いつだって頑張っていたのは兄さんの方じゃないか。例え勝利の一つしか見えていなくても、必死に戦ってきた。
それに比べて、僕はどうだろう。
兄の為だと理由を付けて、沢山の人を踏み台にしてきた。崖を這い上がってきた兄とは訳が違う。……何が弟だ。理解者だ。
ただの一つも理解してなかった癖に。