はっと硬直が解かれた。ロイとマルスは視線を交わし、駆け出す。

知能がある――だとすれば一方向から攻めるのは二の舞になり兼ねない。ロイは先程のアイコンタクトに従ってマルスの進路を外れた。大きく半円を描きながら接近する作戦に出たのだ。

一方で巨人は攻撃を仕掛けてこない。一見してあの虹色の球体から光線か何か放ってきそうなものだが、奴の攻撃手段はその剛腕のみといったところのようだ。……なら斬り落とすしか打開策は――密かにマルスは表情を険しくさせて。


「てぇいやああっ！」　

リムの蹴りが巨人の手の甲を叩いた。が、通じない。

「なんやあいつ、あれでホンマに物体かいな！」

煙や霧を纏い象っているとだけあって触れられるか否か半信半疑だったらしい。

ドンキーはユウの超能力によるサポートを受けながらふわりと着地。

「……どないした？」

気付けばまたユウが黙り込んでしまっている。

勘弁したって。また変な未来を予知すんのとちゃうか。不安に駆られる。