第十一章-中編-
……でかい。こんなのが本当に、倒せるのか。
マルスはその巨体に思わず顔を顰めた。大体あの黒い煙や霧のような渦巻き纏わり付いて巨人を象っているあれが本当に剣で斬れるのだろうか?
躊躇っている暇など。引き下がれないのは分かってる。
なのにどうして妙な違和感が拭い去れない……?
「危ない!」
誰かが声を上げた時には遅かった。
その時には巨人の腕がもう目の前にまで迫ってきていて――
「ッぐ」
……何かが体にぶつかった。
視界が白黒点滅する。何とか呼び戻して顔を傾けると其処にはマリオの姿が。
「ルイージ!」
時を同じくしてロイが叫んだ。恐らくあちらも突き飛ばされたのだろう。
だからといって今度ばかりはどうしようもない。ロイとマルスは空中で体を捻ってどうにか体勢を立て直し、靴底を擦りながら無事着地。一方でマリオとルイージは無防備なその体を巨人の前に晒して――
「ぐあっ!」
次の瞬間、マリオの体が巨人の右手に捕らえられた。
続けて左手がルイージの体を捕らえる。