第十一章-中編-
ラディスは巨人を見上げた。
攻撃は大振り、危険性は絶えないが見切れない動きではない。
「接近して攻撃を誘う」
なっ、とフォックスは短く声を上げた。
「いくら何でも危険すぎる、パターンだって把握しきれてないんだぞ!」
「観察してるような余裕があるかい」
見事な正論だった。
「大丈夫」
口を噤んだフォックスにラディスは続ける。
「……死なせないさ」
なんとなく引っかかった。
何の変哲もない単なる決意を示すはずのその言葉に。
「無線は使えるか?」
それを訊ねるよりも先にラディスが言葉を紡いだのでフォックスはたじろいだ。
「あ、ああ」
「ちょっと貸してくれないか?」
ラディスは苦笑いを浮かべる。
「飛ばされた時の衝撃にやられたみたいで――」