第十一章-前編-
いや、違う。
アーウィンじゃない!
「くっ」
よく似てるけど全く異なるものだ。恐らく、リスペクトしたもの。
防御の時に手間だ。クレイジーは左手を打ち払うようにしてナナの体をポポ目掛け投げつけた。速度を緩めたが避けるわけにもいかず見事命中、二人が地面に倒れ込んだところを狙って左手を突き出すが許されず。肩を脇腹を銃弾が次々掠めてクレイジーはその場を急ぎ後方へ飛び退くと鋭く睨みつけた。
「赤はてめえのがお似合いだぜ? クレイジー!」
ファルコの操縦する戦闘機の右翼に乗っかって二丁の拳銃を構えるフォックス。
戦闘機自身も機銃を搭載している為、弾数が多い。でも、二人なら――
「二人なら、ね」
クレイジーははっと振り返った。
「っ、」
マスターは後転を駆使して後方へ下がり距離を取る。
幾らか掠ったが問題はない、だが。
「どうしたよ、神様」
クレシスははあっと息を吐き出して笑み。
「もう終いか?」