第十章-後編-
鏡の表面に光沢が走った。
刹那、雲を完全に払い除け太陽が照らし出す。その光を待ち侘びていたかのように鏡たちは吸収を始め、眩く輝き始めると。
一斉に光の柱を中央のダークリンクへ解き放ったのだ。
「ああぁあああぁあッ!」
空を劈く悲痛な叫び声。
見惚れるばかりだったラディスもはっと現実へ引き戻される。
「ダークリンク!」
自分には単なる太陽光を反射しただけのものに見えたが恐らくのこと、あれは多分見た目には分からない強力な光魔法なのだろう。
……手を引いてくれる様子もない。
とにかく原因はあの鏡だ。早いところ壊さないと――ラディスは迷いを見せるかのように何度かマスターとダークリンクを交互に見た後でそれまで握っていた剣を放り、飛び出した。地面を蹴り、瓦礫を踏み、高く跳び上がって両手を突き出す。
「があぁあッ、ぁ……ぐぅ……」
放たれた青の閃光が複数の鏡を貫いたがまだ残っている、ここからでは。
一方でダークリンクもがくんと両膝を付き、己の胸ぐらを掴んで前のめりになっていた。あんなに声を上げていたのに意識を繋ぎ止めるので精一杯らしい。
「くっ」
急がないと。
一度地面に降りてまた跳び上がる。しかし今度そう上手くはいかなかった。