第十章-後編-
いちいちうるせーなぁ、あのネズミ、
「……あ?」
次の瞬間だった。
ダークリンクの立っていた瓦礫が大きく揺れ動き、崩壊。と同時に囲うようにして地面から飛び出してきたのは鉄格子だった。放物線を描くようにして昇っていったそれらは上空で結合、その間落下しつつあるダークリンクの体も地面の中から持ち上がった鉄製の床が受け止めて、それはさながら鳥籠のようで。
「チッ」
そういうことかよ、クソが!
思わず尻餅をついたがすかさず立ち上がり、鉄格子に駆け寄って触れるが刹那黒い電気が走って弾かれる。続け様剣を持って斬りかかるが刃が砕け散った。
……あの過保護野郎!
「兄さん!」
クレイジーの瞳は元の色に戻っていた。
「どういうつもりだマスターハンド」
どすの利いた声でダークリンクは怒りを露わにする。
「……それは此方の台詞だ」
冷めた口調でマスターは返した。
「お前が攻撃を阻止した時まさかとは思っていたが」
すっと視線を上げる。
「契約の内容を忘れたのか」
「……くくっ」
ダークリンクは口角を吊り上げた。
「どうもこうも。初めからてめえらの為に使うつもりなんざ更々ねぇよ」
マスターは目を細める。
「有難てぇこった、黙って頷いてりゃこんな便利なもんをくれるんだからよぉ!」
「お前っよくも兄さんを!」
嘲笑う声に小さく息を吐き出して口を開く。
「……言いたいことはそれだけか」