第十章-後編-
「おっと」
こういう餓鬼はちょっとおちょくるとすぐにこうだから扱いやすい。
地面から連続して追うように突き出てくる、結晶により生成された棘を後方に跳びつつ躱し、しかし少し立ち止まった隙、ざくざくと右から左から飛んできた結晶の群れの餌食となるも刹那ダークリンクの体は黒い煙と化し、掻き消して。
「っ、」
背後から斬りかかるが既の所で地面から真っ直ぐに突き出た結晶により阻まれた。
剣を引いて、突き。結晶は砕けて消滅、クレイジーは同じタイミングで後方に大きく飛び退いて鋭く睨みつける。ダークリンクは剣を軽く振るった。
「――逃げてちゃ勝負にならないんだぜぇ?」
魔物も体力も尽きる気配が一向に感じられない。
反射的に叫んだが全くその通り。あんなただのコピーだった奴を原作無視のチートキャラクターに改造するなんて兄さんこそ何を考えてるんだ。
「それとも。鬼はバトンタッチかぁ?」
挑発的な態度に駆られて頭が沸騰しそうだ。
「……うるさい」
ぽつりとこぼして瞳が赤黒く濁り始める。
「お前なんか」
頭がくらくらする。
「お前なんかあぁああッ!」
許して兄さん。
僕、自分で自分を制御出来そうにない――
「危ないッダークリンク!」