第十章-後編-
ラディスはふらりと立ち上がる。
「ようやく、君の正体が分かった……」
壁に凭れて息をつく。
「……君は寂しいだけだ。だから他人を巻き込んで陥れようとする」
まだじんわりと広がる痛みに一瞬だけ眉を寄せて。
「怖いんだろう」
ラディスは続け様に口を開いた。
「独りが」
――キミは生きて。
古くも色濃く残る記憶が遠く聞こえた気がして。
てめえ、とこぼしかけたその時。言い知れぬ気配にはっと振り向いたが刹那建物の壁が凄まじい音を立てて吹き飛んだ。どうにか巻き込まれはしなかったが、二人が砂埃に咳き込む最中。
「……あはっ」
狂気に満ちた赤い瞳がにやりと笑って。
「みぃつけた」