第十章-前編-
「きゃっ」
ラディスとクレシスは開け放たれた扉を見た。
「ったくもー元気ねえ」
現れたのはゼルダとピーチである。
「……あら」
問いただそうと思った矢先にこれだからな。
「ちょうどよかった」
助け船を拾ったかのように、ラディスはすっと進み出て、
「頼みがある」
「フォックス達に何かあったのか?」
ぴくっと小さく肩が跳ねるのを確認した。
「……何かあったの?」
「怪我をしているんですか?」
――いや、違う。
怪我をしていれば指示よりも先に救護を求めたはず。駆け上がってすぐ外の様子を気にした辺り、奴らは無事だ。なのに、戻ってきていない。
じゃあ、何なんだ?
どうして戻ってこない。地下で何が起こった――?
「……彼らは、深い傷を負って動けない状態にある」
はっと目を開いた。
「早い治療が必要だと思う。可能なら、すぐにでも地下に降りてきてほしい」
「それは……構わないが……」
ラディスは振り返る。そして唐突に、クレシスの肩を掴んだ。
「……クレシス」