第二章



大きく後ろに退いて蹴りを躱し、地面に跪く。はあ、と息を洩らしたのも束の間ファルコは駆け出していて、ラディスは素早く地面を蹴って高く跳び上がった。

三つ並んだ足場の内、中央の一番高い足場の上に着地すれば、追うようにファルコは後方に回転しながら跳び上がって接近、振り向き様に蹴りを繰り出して。

「くっ」

気配を感じたので直ぐ様振り返り、両腕を交差させることで防御に成功したが、咄嗟の処置だった為に踏ん張りが利かずに。

「おらよ!」

追い討ちをかけるように回し蹴り。

「ッが」

受け身をとる間もなく、ラディスはすぐ下の足場に背中を打ち付けて。起き上がろうと腕を立てれば、頭上に差す黒い影。

これは自分にとっての初戦だ。

勝ち上がり、次に戦う相手の為にも残しておきたかった技なのだが――仕方ない。
 
 
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