第二章



ラディスは食事の手を止め、耳を傾ける。

「が、その逆は違う。勝負において敗北は付き物なんだ。敗北に価値が無いと決め付けたら、今回のようなトーナメントはどうなると思う?」


確かに、そうなるとトーナメントのような方式は価値が無い者で溢れてしまう。

価値が無いからと削れば、これは大袈裟な例えになるが、この世界に勝負というものが無意味になってしまうわけだ。


「価値があるのは勝利でも、敗北には可能性があると思う。その方が面白いだろ?」

そう言って笑うフォックスは、勝利も敗北も沢山経験してきた身なのだろう。

「……じゃあ、どうしてフォックスみたいに気付ける奴と、そうでない奴がいるんだろうな。あいつには賢い弟もいるのに」

フォックスはうーんと唸って。

「そりゃあ、兄弟揃って気付いてないか」

少しの間を置いて、恐る恐ると。

「気付こうとしていないか……」
 
 
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