第八章



疲れている。きっとそうだ。

もうすぐ任務が控えているのもあってフォックスは朝食を頂くことにした。

「お寝坊さん」

くす、と笑ってピーチが差し出した朝食に思わず苦笑を浮かべる。さっきは自分の意思に反してあんな行動をとってしまったが、それはファルコも何となく分かっているのだろう。何ひとつ文句を言うことなく待機している。

「……?」

あれ。

「フォックス」

気付いたファルコが声をかける。

「オメー、右利きじゃなかったか?」


……え?


「そ、そうだよな」

どうりで、箸は持ちづらいし上手く掴めないわけだ。自分のこの発言にも違和感を感じるがとにかく持ち直して食事を再開。

「……やれやれ。見ていられないな」

やって来たのは食事を終えたマスターである。

酷く呆れた様子で現れた彼はその手からひょいと箸を奪ってやると、適当な惣菜を摘み、それをフォックスの口元に向けて衝撃のひと言。

「口を開けろ。……はい。あーん」
 
 
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